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ブレの計算(と攻撃力)

前ページでは、

ダメージ量は、最大÷最小が1.5となる程度のブレが生じる(平均値からのブレが±20%程度)

という推測を述べた。
また、SFC版でのダメージ量計算では、最後に1~1.25の乱数を掛け算することでダメージ量にブレが生じていることも述べた。
では、本作では、ダメージ量計算でのブレをどう計算しているのだろうか?
SFC版のように、最小値を計算してから、最後に1~1.5の乱数を掛け算しているのか。
それとも、平均値を計算してから、最後に0.8~1.2の乱数を掛け算しているのか。
はたまた、最大値を計算してから、最後に0.67~1の乱数を掛け算しているのか。(これはさすがになさそう?)
更に言えば、1~1.5の乱数を掛け算するとしても、「1+(0~63の乱数)/128」とか、「1+(0~127の乱数)/256」とか、様々な計算方法が考えられるが、実際の乱数の求め方はどうなのか。

もちろん、プレイヤーからすれば、どれであっても大した問題ではなさそうだし、そもそも計算方法などを求められるのか? という疑問も生じるのだが、ある程度まで推測することはできるかもしれない。
というのは、SFC版でのダメージ量計算をもう一度見ていただきたいのだが、

(((min(max((8+技LV+自LV-敵LV),1),24)*LV差係数/8+(自能力値*係数))*((255-敵能力値)/2)/256)*2+攻撃力)*乱数(1~1.25)
(乱数幅は厳密には単発ダメージ*(0~63)/256)

これをものすごく単純にすると、

(「敵味方のステータスから計算した値」+「武器の攻撃力」)×「1~1.25の乱数」

と、いうことになる。
つまり、「武器の攻撃力」が技のダメージ量計算に関わる場合、「武器の攻撃力」の数値がそのまま足されるのである。
アキラが「グラブ(攻撃+4)」から、「妙子のパンチ(攻撃+16)」に装備を変更すると、武器の攻撃力が関わる技「エルボー」のダメージ量が12増えるということである。ただし、最後に「1~1.25の乱数」を掛け算するので、実際には12~15増える。
※SFC版は回避属性という概念もあるので、回避属性の半減によりダメージ量が半分に減ることもある。回避属性については、SFC版攻略の回避属性の説明を参照。

この計算式のポイントは、
「どんなに相手のステータスが高くても、武器の攻撃力を単純に足し算するため、武器の攻撃力の値は最低限のダメージ量として保証されている」
と、いうことである。
最終編で出くわすマスタードラゴンとピスタチオは、SFC版だとステータスがオール255であり、SFC版・リメイク版ともにろくにダメージが与えられないことで有名である。
「コーラのビン」ですらダメージが0になるが、一方で当たりさえすれば、「武器の攻撃力」が依存ステータスである技ならダメージが入る。
これは、

(「敵味方のステータスから計算した値」+「武器の攻撃力」)×「1~1.25の乱数」

のうち、「敵味方のステータスから計算した値」がゼロであっても、「武器の攻撃力」分はダメージとして与えられるからなのである。
マスタードラゴンとピスタチオは共に全属性への回避属性持ちなので、ダメージは半減されるものの、『「武器の攻撃力」×「1~1.25の乱数」』の半分はダメージ量として保証されているのである。
「コーラのビン」のダメージ量計算には、「武器の攻撃力」が関わらないため、マスタードラゴン相手ではダメージ量が0にされてしまう。

以上がSFC版での話になるが、リメイク版でも、マスタードラゴンとピスタチオにダメージを与えることができるのは、おそらく「武器の攻撃力」が依存ステータスであるスキルになる。
マスタードラゴンとピスタチオは全属性が耐性に設定されているため、ダメージ量は本来の75%程度に低減される(耐性属性によるダメージ量を参照)が、リメイク版でもSFC版と同じく、高原の「烈風正拳突き」やサンダウンの銃のスキルでダメージを与えることができる一方で、やはり「コーラのビン」ではダメージが0にされてしまう。
また、SFC版でもリメイク版でも、キューブの攻撃力依存のスキル「ノイズストリーム」は最強武器「17ダイオード」装備時のみ、マスタードラゴンとピスタチオにダメージを与えられるが、キューブが初期状態、つまり武器を装備していないと、ダメージ量が0になる。
ということは、リメイク版でも、

(「敵味方のステータスから計算した値」+「武器の攻撃力」)×「乱数」

というダメージ計算式を使用している可能性が高い。
ただし乱数の部分が、「1~1.5の乱数」か、「0.8~1.2の乱数」か、あるいは全く違うか、それは今のところわからない。

そこで、武器のみ、つまり「武器の攻撃力」のみ変更しながらダメージ量を計測してみることにした。
マスタードラゴンかピスタチオへのダメージ量を記録するのが一番わかりやすいのであろうが、エンカウントする確率が低いこと、ピスタチオ相手だと反撃が面倒であることなどから、今回は例によって影をひたすら攻撃してみることにする。
また、攻撃力だけではなく、ステータスアップの効果がある武器も数多いが、これらを装備するとステータスアップ分がややこしくなるので、ある程度武器の種類が存在し、かつステータスアップなどの効果が付いていない武器がある、おぼろ丸かポゴで計測するのが良さそうだ。
おぼろ丸は「武器の攻撃力」がダメージ量に関わる「忍び斬り」のデータがそこそこあるので、それに追加する形で計測を行った。
おぼろ丸レベル99、装備は武器のみとし、

  • 兼定(攻撃+8)
  • 虎徹(攻撃+16)
  • 菊一文字(攻撃+20)
  • 村正(攻撃+40)

の4種類で、「忍び斬り」を影に正面から当てた時のダメージ量をそれぞれ100回記録した。
「菊一文字」のみ、命中が+3の効果が付いているが、命中の値はダメージ量計算には関わらないという仮定である(おそらく関わらないだろう)。
今回の検討において重要なのは、100回分記録して、ダメージ量の最大値と最小値が出るかどうかであるが、今回は幸い、最大÷最小がほぼ1.5となる数値が出せた。
よって、最大値及び最小値が出せた、という前提で話を進めることにする。

実データはlal_skill - Googleスプレッドシート new windowを参照。

武器兼定虎徹菊一文字村正
攻撃力8162040
最大134144149172
最小909699115
最大と最小の平均112120124143.5
最大÷最小1.491.501.511.50

注目していただきたいのは、最大値と最小値の平均、つまりちょうど中間の値である。
「兼定」(攻撃+8)でのダメージ量平均は112で、「虎徹」(攻撃+16)でのダメージ量平均は120。
攻撃の値、ダメージ量平均ともに、ちょうど+8されている。
他の値も見比べてみると、

攻撃力とダメージ量

「攻撃力の上昇値」=「ダメージ量平均値の上昇値」と見なして良いだろう。
また、最大値の増え方は「攻撃力の上昇値」×1.2、最小値の増え方は「攻撃力の上昇値」×0.8になっている。
以上から、本作では、

(「敵味方のステータスから計算した値」+「武器の攻撃力」)×「0.8~1.2の乱数

という計算によって、ダメージ量のブレ(最大÷最小が1.5となる程度のブレ)が生まれている、と見なして良いのではないだろうか。
ただし、「0.8~1.2の乱数」がどう計算されているのかまではわからない。
{ 80 + (0~100の乱数) × 0.4 } / 100など、色々なパターンが考えられるが、筆者はプログラミングについては素人であるので、これ以上は踏み込まない。

だとしたら、マスタードラゴンに与えられるダメージ量は、SFC版よりリメイク版の方が低くなるのでは?
SFC版では「ダメージ量最小値を計算で出して、1~1.25の乱数を掛け算する」ことで実際のダメージ量となる。
一方リメイク版では、「ダメージ量平均値を計算で出して、0.8~1.2の乱数を掛け算する」ことで実際のダメージ量となる。
リメイク版では、乱数で1未満の値を引いてしまったら、計算で出した値よりも実際のダメージ量が低くなることを意味している。

実際のところはどうなのだろうか?
とりあえず、手持ちのセーブデータから、マスタードラゴンが出現するレベル帯のデータを引っ張り出して、「17ダイオード」装備のキューブの「ノイズストリーム」の実測値をチェックしてみることにしたのだが……
ここから先がまた想定外の方向へ進んでしまったため、次ページで説明する。



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