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ブレの計算(と攻撃力)・2

前ページの続き。

まず、前ページの結果から、計算上の「ノイズストリーム」のダメージ量はどうなるかを考えてみた。
「17ダイオード」の攻撃の値は、SFC版もリメイク版も30である。
マスタードラゴンに与えられるダメージ量は、「敵味方のステータスから計算した値」が0にされてしまうため、「武器の攻撃力」だけが関わる。
リメイク版の場合は、マスタードラゴン(ピスタチオも)が、無属性以外の14種(手・足・突・鋭・鈍・締・飛・火・水・風・土・精・善・悪)の属性に耐性属性を持つことから、耐性属性によるダメージ量の通り、無属性攻撃以外のスキルだとダメージ量が0.75倍にされてしまう。

SFC版

武器の攻撃力」×「1~1.25の乱数」=30~37.5
ただし、マスタードラゴンは全属性の回避属性があるため、戦闘開始直後以外は半減されて、15~18.75

リメイク版

これまでの推測からして、
武器の攻撃力」×「0.8~1.2の乱数」×「耐性属性の倍率0.75」=18~27

SFC版は回避属性で半減されなければ、武器の攻撃の値とほぼ変わらないダメージ量が出る。
リメイク版は耐性属性もあり、武器の攻撃の値より低いダメージ量しか出せない、ということがわかるが、一方でSFC版で回避属性の半減が入るとリメイク版よりダメージ量が出せなくなる。
ただし、マスタードラゴンのHPはSFC版でもリメイク版でも12。
マスタードラゴンを倒せるだけのダメージ量は、SFC版でもリメイク版でも保証されている、ということになる。

リメイク版でのダメージ量が本当に18~27なのか? は、実際に確認してみなければわからない。
早速、適当な最終編データで試したのだが、見事に予想から外れた。
SFC版では、マスタードラゴンとピスタチオのステータスはHP以外同一で、力・体・速・知すべて255であり、おそらくリメイク版でも両者のステータスは同一であろう。
という仮定を元にした上で、「岩×5、マスタードラゴン×4、ピスタチオ×6」が出現するレベル帯のデータを使って、キューブに「ノイズストリーム」を当てた結果は以下の通り。
実データはlal_masterdragon - Googleスプレッドシート new windowを参照。今回は各50回分の測定値を記録している。

武器虎の小手17ダイオード
攻撃力030
最大035
最小024
最大と最小の平均029.5
最大÷最小01.46

武器に「虎の小手」を装備して、武器の攻撃力を0にすると、「ノイズストリーム」のダメージ量がマスタードラゴン・ピスタチオ共に0になること自体はこれまでも試したことがあるし、想定内である。
だが問題は「17ダイオード」装備時の値。
想定していたよりダメージ量は高かった。
これはいったいどういうことなのか?
「0.8~1.2の乱数」という予想がミスか、「耐性属性の倍率0.75」がミスか。それとももっと別の何かか。

まず、「耐性属性の倍率0.75」が実は間違いで、「0.8~1.2の乱数」が正しいと仮定してみる。

武器の攻撃力」×「0.8~1.2の乱数」=24~36

耐性属性でダメージ量が減るはずなのに減っていないことになってしまう。これではおかしい。
つまり「0.8~1.2の乱数」の部分自体が何かしらおかしい。

では次に「0.8~1.2の乱数」が間違いで、「1~1.5の乱数」が正しいと仮定してみる。
武器の攻撃の値が30なのに最小値が24になるということは、耐性属性だからダメージ量が減ったということになる。
だとしたら、

武器の攻撃力」×「1~1.5の乱数」×「耐性属性の倍率0.8」=24~36

これなら計算としては合う。
耐性属性の倍率はここ以外の検討で求めたのでひとまず横に置く。

もうひとつ、第三の可能性として、
「実は武器の攻撃力はそのまま足されているのではなく、スキル毎に何らかの係数をかけてから足している」
または、「敵ごとに何かしらの係数がある」
という可能性もある。

と、あれこれ悩むより先に、とりあえず「ノイズストリーム」以外のデータを取ってみる方が良さそうな気がする。
マスタードラゴンにエンカウントするのは大変だから、と影を相手に検討してきたが、結局マスタードラゴンとピスタチオ相手にダメージ量を記録することになってしまった。こんなものである。
とりあえずは引き続き、「忍び斬り」を試してみた。

武器虎の小手村正村雨
攻撃力04060
最大04771
最小03248
最大と最小の平均039.559.5
最大÷最小01.471.48

おぼろ丸でもやはり、武器の攻撃力を0にすると一切ダメージが入らないため、おぼろ丸のステータスはダメージ量計算に関わらず、武器の攻撃力だけでダメージ量が決まると見て良い。よって最強武器の「村雨」のデータも取ってある。
結果、ここでも、

武器の攻撃力」×「1~1.5の乱数」×「耐性属性の倍率0.8」

が成り立っているように見える。
「耐性属性の倍率」は、耐性属性によるダメージ量にて計測した通りなのだが、ここにミスがあったのだろうか?

ここで気がついたのだが、今回の測定では、マスタードラゴンとピスタチオに耐性属性があるので若干ややこしくなっている。
だが、ユンの「空破旋風手」なら無属性攻撃であるから、耐性属性での軽減がない。わかりやすい結果が出るのでは?
「空破旋風手」なら、

武器の攻撃力」×「1~1.5の乱数」×「耐性属性ではないので倍率1」

のはずである。
最強武器の「達人のヌンチャク」の攻撃力は20なので、マスタードラゴンとピスタチオに与えるダメージ量は20~30と予測できる。
「空破旋風手」は最大7Hitの攻撃なので、1Hit毎のダメージ量を記録した結果は以下の通り。

武器虎の小手達人のヌンチャク
攻撃力020
最大023
最小016
最大と最小の平均019.5
最大÷最小01.44

この結果に、えぇ!? とリアルで声が出てしまったが……
おかしい。
これでは、「ノイズストリーム」や「忍び斬り」のように、耐性属性に当たるスキルと同じ計算方法で算出された値になってしまう。
実際、「ノイズストリーム」や「忍び斬り」を当てた時には、耐性属性なので「RESIST」表示が出るが、「空破旋風手」は無属性攻撃なので「RESIST」表示は出ず、軽減されていないことになっている。

さて、もう一度このページの最初に戻ってみて……

武器の攻撃力」×「0.8~1.2の乱数」

これだとダメージ量計算値とゲームでの実測値は合うが、上でも、
「耐性属性でダメージ量が減るはずなのに減っていないことになってしまう。これではおかしい。」
と、記した。
まさに今その現象を目の当たりにしているのである。耐性属性があろうがなかろうが同じ計算でダメージ量が求められている。
一方、味方キャラに装備品で耐性属性を付ければダメージ量が減ること自体は、耐性属性によるダメージ量で確認している。

では、もしかすると、前ページに記した、

(「敵味方のステータスから計算した値」+「武器の攻撃力」)×「0.8~1.2の乱数」

これは、実は、

(「敵味方のステータスから計算した値」×「耐性属性または弱点属性の倍率」+「武器の攻撃力」)×「0.8~1.2の乱数」

だったとしたら?
耐性属性や弱点属性の倍率が掛け算されるのは、「敵味方のステータスから計算した値」だけで、「武器の攻撃力」は関係ない扱いなのでは?

SFC版では、敵の攻撃力・防御力は0と設定されているが、おそらくリメイク版でも同様だろう。よって、敵からの攻撃には、味方に耐性属性が付いているならそのまま耐性属性の倍率を掛け算してダメージ量が算出される(多分だが、その上で味方の防御の値が引かれている)。
一方、味方からの攻撃の場合は、上のように、「耐性属性または弱点属性の倍率」が「敵味方のステータスから計算した値」にのみ掛け算され、「武器の攻撃力」の値の分については、敵の耐性属性または弱点属性に左右されないほぼ固定値という扱いになるのではないだろうか?

以上、あくまでも筆者の推測でしかないが、一応こう考えれば辻褄が合うという話である。
「ダメージ量のブレ検討」という本題からはやや外れてしまったが、「空破旋風手」の結果からして、『ダメージ量計算において、武器の攻撃力には耐性属性や弱点属性の倍率が掛け算されない』ということはほぼ間違いないと思われる。

ここまで細かく数字を見た方はお気づきになられたかもしれないが、例えばノイズストリームなら、計算では、

武器の攻撃力30」×「0.8~1.2の乱数」=24~36

だが、実際にデータを取ってみると、24~35であり、36が出ない。
他についても同様で、1.2をかけた値が出ず、計算上の最大値から1引いた値がゲーム上での最大値になっている。
ここから想像できるのは、「0.8~1.2の乱数」というのは実際には、例えば、

 {80 + (0~99の乱数) * 0.4} / 100
= (80 / 100) ~ {(80 + 39.6) / 100} の乱数
= 0.8~1.19 の乱数

そしてダメージ量計算で小数点以下を切り捨てとすれば、最大値が36ではなく35になる、ということになるのではないか。
ただ、上のような計算式だろうと推測はできるものの、具体的な計算式はもちろんわからない。
SFC版では、0~63の乱数から、「256 + (0~63) / 256」という計算式を使って、「だいたい1~1.25」となるダメージ量のブレの倍率を作り出していた。
仕組みというか考え方はSFC版とリメイク版とで似たようなものだろうが、プログラムの仕組みは全く異なるだろうし、これ以上のことはわからない。

簡単に記すなら、乱数幅は「0.8 ≦ (乱数) < 1.2」である、というのがここまでの推測のまとめになる。



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