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ステータスアップ(バフ)の上昇量の検証

※このページの一番下に、「追加検討 チャージスキルとバフのタイミング」も記してある。

ステータスアップ(バフ)の上昇量の検証の前に、まず本作におけるバフの継続時間や重ねがけに関する仕様について説明をしておきたい。
今回の検証とは別に、筆者は継続時間や重ねがけについて調べてみたことがあり、結果は基礎知識 > 能力増減に記してあるので、詳しくはそちらも参照していただきたいのだが、

  • バフの継続時間は、キャラクターのステータスには関係なく、「能力増減した状態で3回そのキャラにターンが回る直前」。要するに、アイテムやスキルで1回ステータスアップしたら、2回はステータスアップ状態で行動可能。
    また、能力増減状態にあるキャラが、一定の回数、移動や向き変えをした時にも解除される(どの程度で解除になるかは、要検証)。
  • バフ状態(青アイコン物攻UP)で更にバフをかけた時は、それ以上ステータスアップすることはないが、継続時間だけ伸びる。

疑念があるのは、

  • バフ状態のアイコンが付いている最中、能力値が徐々に減って元に戻るというような、SFC版のような仕様があるのかないのか?

この点なのだが、例えば戦闘中に、

  1. 「印籠」で味方を全ステータスバフ状態にする
  2. 直後に敵から、一部ステータス(ここでは仮に命中と回避)がダウン(小)する攻撃を食らって、ダウンしたアイコンが出たが、該当キャラは全ステータスバフ表示のまま
  3. 該当キャラにターンが回ってきた時になって、命中と回避のみバフ表示が消えて残りの物攻・物防・特攻・特防・素早さのバフだけが残っている

という現象が起こるのを確認している。
つまり、2.で、「ステータスダウン(小)をくらったが、まだ通常状態よりもステータスが高いままなのでバフ状態のアイコンが残っている」という状態になっており、「バフ状態にはアイコン表示が1種類しかないが、実際には少しずつ低下している可能性がある」ことを示しているのではないだろうか?
ただ、この「少しずつ低下」する現象が「実際のステータスの数値が少しずつ低下」なのか、「倍率が少しずつ低下」なのかがよくわからない。
そしてこの現象はあくまでもデバフを食らったから起こっただけという可能性もあり、バフ状態が通常状態へと戻っていく時も段階的に低下するのかについては不明のままである。

よくわからないだらけなので、以下では実用的と思われる、「バフをかけた後、そのキャラにターンが回ってきた時、ステータスはどれくらい上昇しているのか」について調べてみることにする。
もし、バフが徐々に低下していく仕様だったとしたら、そのキャラにターンが回った時には通常状態に戻る処理が入るため、少しバフ状態の倍率が落ちていると思われる。このタイミングでの倍率がわかっている方がプレイする上では重要になってくるだろう。

まず、SFC版でのステータスアップ(バフ)の上昇量計算だが、データ解析サイト(世界の合言葉は森部 new window様)によれば以下の通り。

能力値変化後の値=能力値*5/4+1

つまり、元の値からだいたい1.25倍になる、というのがSFC版でのステータスアップである。

また、戦闘中のステータス上限の検証にて、「火遁の術」のダメージ量を「特効99+印籠」「特攻150」で比較すると、「特攻150」のダメージ量より、「特効99+印籠」の方が低めであったため、今作においては「ステータスアップすると1.5倍には届かない程度」、1.2~1.4倍程度? と推測ができる。
SFC版と同じく1.25倍くらいという可能性もある。

ということで検討してみるとして、「火遁の術」ではダメージ量が小さすぎて、正確な倍率が出せない可能性が高い。
また、「印籠」で上昇するステータスは「物攻」「物防」「特攻」「特防」「素早さ」「命中」「回避」の7種類のステータスであるが、これまでダメージ量の検討を行ってきたスキルは、ステータスのうち2種類がダメージ量に関わるものばかりだったので、「印籠」などでステータスアップをかけると、2種類のステータスどちらも上がってしまい、ややこしい。
「印籠」以外でも、ほとんどのステータスアップスキル・アイテムは複数のステータスが上昇するため、「ステータスのうち2種類がダメージ量に関わるスキル」は、今回の検証には不向きということになる。
ある程度のダメージ量があり、かつ、関わるステータスが1種類のちょうど良さそうなスキルとして選んだのがアキラの「エルボー」である。
「エルボー」は手属性であり、対象としている敵「影」の弱点属性のため、ダメージ量はそれなり(3桁出せる)。
また、SFC版のままなら、依存ステータスは「物攻」及び「武器の攻撃力」のはず。
ということでまずは「エルボー」のステータス依存値の確認を行った。確認方法はダメージ量の検討と同一である。

アキラレベル99
エルボー正面真横1マスから攻撃サンプル数各20
武器グラブ(+4)妙子のパンチ(+16)
物攻9913599999999
物防9999134999999
特攻9999991509999
素早さ9999999915099
ダメージ量平均184.10206.70166.00182.35175.65199.60
ダメージ量最大211252211212210228
ダメージ量最小146172142144147156

※エルボーの全データはlal_skill - Googleスプレッドシート new window

想定どおり、「エルボー」の依存ステータスは「物攻」及び「武器の攻撃力」。
かつ安定して3桁ダメージが出せるため、今回の検証にはうってつけ、ということである。

さて、ダメージ量が何のステータスに依存しているかをただ調べるだけであれば、ダメージ量のランダムでのブレが±20%あろうが、上のようにサンプルを20ずつ取ればだいたいわかる。
だが今回については、「バフによりステータスがどのくらい上昇するか」なので、もう少し確度の高い数値が欲しい。
ここまでの調査で、ダメージ量のブレは大雑把に±20%程度と判明している。
平均で150のダメージが出せる時は120~180の間でブレる。要するに最大と最小で60の差がある。
ということは、単純に考えて……「最小値の120が出る確率は60分の1」だし、「最大値の180が出る確率も60分の1」。
※厳密には、ダメージ量の乱数計算方法で確率は変わるはず。SFC版ならダメージ量のブレを決める乱数は0~63の間なので64分の1になるだろう。

とにかく何が言いたいのかといえば、
「本気でダメージ量の平均値と最大値と最小値を出したいのなら、試行回数は20回程度では足りない」
のである。

~数学的な話~

上に書いた通り、「SFC版ならダメージ量のブレを決める乱数は0~63の間」。
逆に言えば、同じ条件下で攻撃しても、ダメージ量が「64通り」存在しているのである(厳密には小数点以下を切り捨てなり切り上げなりした際に同値となる場合もあるだろうから、ダメージ幅が小さい場合はダメージ量の被りが起きて、数値としては64通り以下になる。下図も参照のこと)。

乱数ブレによるダメージ量zoom_in

この64通りのダメージ量が、20回の計測で全て出る訳がないのは当然のことである。
リメイク版での乱数でのダメージ量計算方法は不明だが、SFC版と似たような計算をしているのなら、やはりダメージ量が「64通り」存在しているということになるので……
「64通り」のダメージ量を全て出したいのならサンプル数は幾つにすれば良いだろうか?
……というのは、高校数学の確率とか期待値とかの問題である。「サイコロを振って1から6の数字全てが出揃う平均回数を求めよ」みたいな問題と似ている。
ここで言えば「1から64までの数字が書かれた64面サイコロを振って1から64の数字全てが出揃う平均回数を求めよ」という話と同じである。
答えは、
64/64+64/63+64/62+64/61+……+64/4+64/3+64/2+64/1、およそ303.6である。
今回の検証では、できれば最大値と最小値が出てくれれば良いし、実際には64通り全て出さなければならないという訳ではないのだが、何にしてもさすがに300回はきついので、とりあえず100回頑張ってみることにした。

実際の確認方法であるが、

  1. まず「物攻100+印籠」で、「エルボー」のダメージ量の平均値(と最大値・最小値)を100回記録。
  2. 物攻100の1.25倍くらいとして、「物攻125」における「エルボー」のダメージ量の平均値(と最大値・最小値)を記録。

1.と2.の結果を比較して、もしほぼ同一の値であれば、「物攻100でバフをかけると物攻125の時とほぼ同値のダメージが出せる」、つまりバフでの物攻の増加量は1.25倍といった関係式が導き出せるということになる。関係式がこれで正しいかは更に検討が必要になるが。
とにかく実際に計測してみた結果は以下の通り。
敵はいつものように影で、武器はグラブ(+4)で統一。
アキラはレベル99でステータスがオール99なので、物攻を100にするために「黄金ちょんまげ(頭装備で+5)」「魔法のペンダント×2(−4)」を装備させている。
125は「虎の服(+5)」「王者のキバ(+20)」で。

エルボー正面真横1マスから攻撃
物攻100125
印籠ありなし
ダメージ量平均208.90198.05
ダメージ量最大249238
ダメージ量最小168163

※エルボーの全データはlal_buff - Googleスプレッドシート new window

印籠ありのサンプル100回分で最大値÷最小値を取ってみたところ1.482、ほぼ1.5であるので、最大値と最小値の幅はこれまでの計測と同じく±20%程度。実を言えば、「物攻100+印籠」はサンプルを100取り、その後に「物攻125」でダメージを計測し始めたのだが、こちらはサンプル数20の時点で「どうやらダメージ量が違う」と気づいて止めている。
「物攻100+印籠」の方が「物攻125」よりも明らかに大きい。
つまり「物攻100+印籠」は、物攻125よりちょい上くらいまでステータスが上がる。
この「ちょい上」はどれくらいなのか。
コンピュータゲームだと、16進法がよく使われるので、「128」は有り得そうな気がする。
それともキリの良い「130」だろうか?
結論としてはどうも「130」のようである。以下は物攻130で100回分データを取った時点での比較。

エルボー正面真横1マスから攻撃
物攻100130
印籠ありなし
ダメージ量平均208.90210.24
ダメージ量最大249249
ダメージ量最小168169

※エルボーの全データはlal_buff - Googleスプレッドシート new window

ほぼ同一……とみなして良いかどうか何とも難しいところだが、かなり近い値と見て良いだろう。
問題は、このことから「バフをかけるとステータスが1.3倍になる」と断言できない、という点にある。
もしかすると、SFC版の「能力値*5/4+1」に倣って、「能力値×5/4+5」といったちょっとややこしい計算方法かもしれない。「100×5/4+5」でも130という数字が算出されるからである。

ということで、もうひとつ確認してみることにする。
もし「バフをかけるとステータスが1.3倍になる」なら、元のステータスが50の時、バフによって50×1.3=65に上がるということになる。
よって、「50+印籠」と「65」でのダメージ量は同値になるはずだ。
これを確認するのに適しているのは、ダメージ量の検討で「特攻」と「武器の攻撃力」のふたつが依存値と判明した高原の「トルネードプレス」であろう。
高原は素の特攻の値が25なので、アクセサリーなどで特攻が調整しやすいからである。
ただし、前回の検証で、「トルネードプレス」は影に対してダメージ量が低い(3桁届かない)ことがわかっているため、正確な数字が出せるかどうかがやや微妙なところ……。
武器を「最強バンテージ」にすればそこそこダメージ量は上がるだろうか。
ということで、武器は「最強バンテージ」で、特攻の値をアクセサリーなどで調整し、それぞれ100回ずつデータを取ってみた。

トルネードプレス真正面2マスから攻撃
特攻5065
印籠ありなし
ダメージ量平均89.5989.56
ダメージ量最大107106
ダメージ量最小7171

※トルネードプレスの全データはlal_buff - Googleスプレッドシート new window

以上のとおり、「特攻50+印籠」と「特攻65」でのダメージ量はほぼ同一と見て良いだろう。
よって、「バフをかけた後の自ターンではステータスが1.3倍になる」はほぼ確定と考えて良い。
これまで散々述べてきた通り、ダメージ量のブレなど、まだまだ不確定要素もあるので、絶対にこれだ、と言い切ることはできないが、普通にゲームをプレイする上では1.3倍と考えておいて特に問題はないだろう。

といっても、ここまでの検討のダメージ量を見てわかる通りに、ステータスが1.3倍になるだけで、ダメージ量が1.3倍になるという訳ではないことは注意。ダメージ量計算が「何かしらの定数×依存ステータスの数値」ではなく、武器の攻撃力に依存する場合はその計算値を足すことになるし、更に敵の能力値諸々が計算に関わるはずので、単純に比例することはないのである。

ではここで改めて、「ステータスのうち2種類がダメージ量に関わるスキル」について考えてみたい。
ここまでで「バフをかけるとステータスが1.3倍になる」という仮定に至ったので、これが成立するならば、例えば、

  • キューブの「スピンドライブ」(物攻・素早さ依存)の場合、
    「物攻50、素早さ50のダメージ量+印籠」と「物攻65、素早さ65のダメージ量」
  • おぼろ丸の「忍び斬り」(物攻・素早さ依存)の場合、
    「物攻100、素早さ100のダメージ量+印籠」と「物攻130、素早さ130のダメージ量」

「印籠」のステータスアップでは物攻と素早さが同時に上昇することから、これらのダメージ量はそれぞれ同一になるだろう。
以上を検証してみることにした。
ちなみに物攻と素早さの値の調整は、複数の装備品でなんとかした。

  • キューブの場合、
    • 物攻50、素早さ50は「17ダイオード」「パラサイトソード」「MKバッヂ」「ライダーベルト」「コーラのビン」
    • 物攻65、素早さ65は「17ダイオード」「ロックフィスト」「虎の服」「水神の足袋」「王者のキバ」「MKバッヂ」「ライダーベルト」「コーラのビン」
  • おぼろ丸の場合(ステータスオール99)、
    • 物攻100、素早さ100は「黄金ちょんまげ」「水神の足袋」「ピラピラ襟」「魔法のペンダント×2」
    • 物攻130、素早さ130は「黄金ちょんまげ」「水神の足袋」「ピラピラ襟」「魔法のペンダント×2」「ロックフィスト」「コーラのビン」「王者のキバ」

となっている。このため、攻撃力・物攻・素早さ以外のステータスがめちゃくちゃなことになっているが、ダメージ量計算には関わらないので問題ない。
今回の検証はひとまずサンプル数を各50としている。サンプル数100でも辛いので……

スピンドライブ真正面2マスから攻撃
物攻5065
素早さ5065
印籠ありなし
ダメージ量平均324.2335.42
ダメージ量最大389390
ダメージ量最小263264

※スピンドライブの全データはlal_buff - Googleスプレッドシート new window

忍び斬り真正面1マスから攻撃
物攻100130
素早さ100130
印籠ありなし
ダメージ量平均126.9127.56
ダメージ量最大153152
ダメージ量最小102102

※忍び斬りの全データはlal_buff - Googleスプレッドシート new window

以上の通り、依存ステータスが2種類の場合は、「印籠」でのステータスアップ時のダメージと、どちらのステータスも1.3倍した時のダメージ量がほぼ同一となった。多少のブレはサンプル数の問題かもしれないが、今回はこのあたりで勘弁していただきたい……。

ということで、
バフをかけた後の自ターンではステータスが1.3倍になる
はおそらく成立しているのだろう、と思われる。
また、戦闘中のステータス上限検討にて、ステータスを装備補正で150にした上でバフをかけると150以上にステータスが上がるようだということを検証している。
ただ、戦闘中にバフによって、150×1.3=195までステータスが上がっているのかどうかまではわからない。おそらく195に近い数値までは上がっているのだろうが。

なお、最初に触れた通りに、これはあくまでも「バフをかけた後の自ターン」の話であって、「バフをかけたその瞬間」については1.3倍以上である可能性が残されている。
本作では装備補正した上でのステータスの最大値が150だが、これに1.5を掛けると、225になる。
この225という値はSFC版における、装備補正後のステータス最大値の226に近い値なので、もしかすると「バフをかけたその瞬間」はステータスが1.5倍まで上がっているかもしれないが、あくまでも推測である。また、下で「チャージスキルとバフのタイミング」を検討したが、チャージ中にバフを入れてもダメージ量が有意に上がることがほぼ見られない(バフのタイミングにもよるのかもしれないが)ため、バフの効果を最大にするためにチャージ中のバフのタイミングを図ってみる、というのはどれほど意味があるのか、何とも言えない。
やはり「バフ状態からデバフを食らった時」と「バフ状態から通常状態へターン経過で戻る」とでは、変動の方法が異なるのだろうか。

追加検討 チャージスキルとバフのタイミング

バフの話の余談のようなものになるが、チャージスキルで敵を攻撃する場合、

  1. バフをかけてからチャージスキルを選択、バフ状態でチャージスキルを出す
  2. バフがない状態でチャージスキルを選択、チャージ中に他の味方キャラにスキルやアイテムでバフをかけてもらい、バフ状態でチャージスキルを出す

1. と2. ではダメージ量が異なるだろうか?
つまり、コマンドでスキルを選択した瞬間と、スキルを実際に出す瞬間のどちらのステータスが、スキルのダメージ量の計算に用いられているのか、である。
スキルによるダメージ量検討(結果その2)で、高原の「大激怒岩盤割り」のデータを取っているが、この時の、武器にのみ「バンデージ(+5)」、他の装備はない状態、特攻25、他ステータスは99の状態で、上の1. と2. の追加検討を行ってみた。
バフはこれまでと同じく「印籠」を使用している。

高原 日勝レベル99
大激怒岩盤割り正面から攻撃サンプル数各20
印籠なしスキル選択前チャージ中
ダメージ量平均237.35271.20274.30
ダメージ量最大269314312
ダメージ量最小194217218

※全データはlal_skill2 - Googleスプレッドシート new window

1. と2. でダメージ量に有意な差は見られなかった。また、いずれもバフがない状態よりダメージ量が増えているので、バフの効果が発揮されている。
以上より、スキルを実際に出す瞬間のステータスがダメージ量計算に使われる、と見て間違いないようである。
パーティメンバーが複数の場合、チャージスキルのチャージ中、他キャラにバフをかけてもらうことで効率良く戦闘を進めることも可能、ということである。



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